住宅建材部
神谷 佳奈Kana Kamiya
2006年入社
住宅建材部
神谷 佳奈Kana Kamiya
2006年入社
Story.01
入社して数年が経った頃のこと、中国の仕入れ先の開拓を任されました。商品は住宅用の杉の外壁材。それまでは主にアメリカの木材工場から仕入れていたのだけれど、コストが高いことが問題でした。なんとかしようと全員で思案した結果、新しく中国の仕入れ先を開拓することになったのです。かくいう私、実は学生時代に大学を2年間休学して、中国は福建省へ留学していたほどの中国通です。この会社を選んだのも、中国を始めとした海外との取引を経験できそうだからという理由。だから、担当に決まった時はワクワクしたものです。でも浮かれてばかりもいられません。なにしろ、ゼロの状態から新しいパートナーを開拓するのです。やることがたくさんあります。ええっと…まずは…インターネットで中国の木材工場をしらみ潰しにリストアップしていこう。私は、大任を果たすべく仕事に取り掛かったのです。
Story.02
インターネットで一通りリストアップした会社へ、今度は国際電話をかけまくります。杉の外壁材を供給できるパートナーを探していること。こちらの求めているスペックはこんな仕様で、この位の供給量を見込んでいるが、可能かなど。学生時代から磨いてきた中国語を駆使し、まずはおおまかな概要を伝えます。一度詳しく話を聞きたいとなれば、いざ飛行機に飛び乗って現地での交渉です。先方の工場設備を自分の目で見て、仕事ぶりを見学する。サンプルをその場でつくってもらい、この点は合格だけど、この点は求めるスペックに足りてないと話す。もちろんコストも重要です。さらに、何度も足を運んで信頼できる相手がどうか見極めないといけません。ただ、その辺りは相手も同じです。私の経験上、中国人は仲良くならないと取引をしてくれないことも多いのです。そんなの百も承知です。これでも私、見知らぬ中国人と仲良くなるのは得意なんです。
Story.03
最終的に候補に残ったのは、偶然にも、学生時代に留学していた福建省の木材工場。何度かお互いの条件をすり合わせ、品質も確認し、どうやらいけそうだと思っていました。あとはお互いに、いかに心の距離を縮められるかがポイントです。中国茶を飲みながら商談をする文化があることは分かっていたので、相手がコストを計算している最中にすっと席を立ち、留学時代から学んでいたお作法を駆使してさっとお茶を淹れて出します。お昼の時間になれば工場の食堂で一緒に大皿をかこみ、「食べな!」と勧められたよく分からない塊を頬張ります(美味しかったけど)。その日の議題がひと段落すれば、待っているのは宴席です。「カンペイ(干杯)」ね、うん。でも私は女子だからそんなに飲めないのと、さらりと逃れます。心が通じ合えば、あとは早いです。「この人は友達」となれば、その絆をずっと大切にしてくれる。だから、中国が好きなんです。
Story.04
その時に開拓した中国のパートナーとはその後も関係良好で、中国産の杉の外壁材は会社のロングセラーになりました。私はと言えばその後も、中国で多くのパートナーとの交渉に挑みました。苦い経験もたくさんあります。交渉が決裂し、山奥の工場から一人で飛び出したこともあります(なんとか帰れたけど)。思えばずいぶんと、逞しくなりました。というか、逞しくないとやってられないんです。
そんな私も結婚と二度の出産を経験し、今は時短勤務の事務として働いています。仕事は、営業が仕入れた商品の輸入手続き、国内へのお客さんへの出荷手続きなどです。社内でもだいぶベテランになりましたから、若い営業のお尻を叩きながら、全員の仕事がうまく回るように支える役目だと思っています。今の目標は、自分の中にある知識や経験を全て伝えて、みんなの知識を底上げしていくこと。なにかと細かい点まで指摘しがちだから、もしかしてうるさいおばさんって思われているかもしれないけど、それでいいんです(笑)。だって、厳しく言うのは優しさの裏返しだと思っていますから。
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