本物の素材に宿る、経年美化の美しさ。(前編)

2022-09-09 公開 2022-09-13 更新

こんにちは!最近注目されている「経年美化」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

プレイリーホームズでも以前は、天然木材の特徴のひとつとして「経年変化」とお伝えしてきましたが、木の魅力をもっと深く皆様にお届けしたいと思い、今はわたしたちも「経年美化」という言葉で表現しています。

では、そんな経年美化とはなんなのか……?前編・後編の2回に分けてお話していきます!

前編のポイント!

  • 無垢材の経年美化でわかりやすいのは色の変化!その要因は主に「エイジング」と「ウェザーリング」。
  • エイジングは年月をかけて紫外線を受けることによる色の変化、ウェザーリングは日光や雨風に晒されることによる見た目の変化。
  • 革製品やシルバーアクセサリーなど、無垢材以外にも身近なものにも経年美化を楽しめるアイテムがある。

無垢材に見るエイジングとウェザーリング

無垢材の経年美化でわかりやすいものは、色の変化でしょう。木材が“あめ色になる”という表現をよく聞きませんか?たとえば、日本人に馴染み深いヒノキもあめ色が楽しめる代表格。年数を重ねると白っぽかった色がだんだんとあめ色に変わり、光沢も出てきます。これは「エイジング」と言われる効果で、年月が経つ中で紫外線などの光の影響を受け、木材に含まれる成分が変化することで起こります。

そして、色の変化はあめ色だけではありません。樹種によっても違いがあるのが面白いところ。

たとえばこちらのお宅の10年後の変化を見てみましょう。左が建築時、右が10年後です。フローリングの木材はオーク※1、天井はレッドシダー(米杉)※2です。オークはワントーン色が濃くなり深みが出ることが多い樹種。黄みが強くなるとは限らず、このように赤みが増すこともあります。レッドシダー(米杉)は全体的に色が濃くなり、色差(板ごとの濃淡の差)がマイルドになっていますね。
※1 オーク三層ウレタン塗装
※2 無塗装

このように木材は色が濃くなるイメージが強いかもしれませんが、実は樹種によっては色が薄くなるものもあります。

こちらのフローリングのアッシュは10年経って全体的にピンクがかってきています。色差も少なくなり、より柔らかな印象になっています。
※アッシュ三層ウレタン塗装(ホワイト)

また、「ウェザーリング(風化)」によっても木材ならではの表情が深まります。主に外壁材など屋外に使われる木材が日光や雨風に晒されることで起こります。この場合、多くの樹種で色味はシルバーグレイになり、さらに木目の陰影が際立つようになります。風化と聞くと劣化のように感じるかもしれませんが、適した材を見極め、しっかりと手をかけていくことで、新品にはない“風合い”や“趣き”になっていきます。

TM – stock.adobe.com

日本最古の木造建築物である法隆寺。ウェザーリングが醸し出す佇まいは、寺社などを想像するといいかもしれません。

意外に身近にある経年美化

無垢材のほかにも、わたしたちの暮らしの中には経年美化のアイテムがあります。身に着けるものではシルバーアクセサリーや革製品。生活の道具なら漆器やペルシャ絨毯も。どれも日々のお手入れ次第で長く使えるものばかりです。

人生で誰もが使うランドセルも革製品。卒業後に小物にリメイクする時あえて傷を残したりしますね。

世界的にも有名なペルシャ絨毯は、踏めば踏むほど美しくなっていくと言われています。踏まれるほど味わいが深まるのは無垢床とちょっとシンパシーを感じます。

ここまで、無垢材の色味の変化による経年美化や、木材以外の経年美化を感じられるアイテムをご紹介してきました。意識していなかっただけで、実は多くの人の身近に何かしら経年美化を楽しめるアイテムがあるのではないでしょうか。

でも、ただ持っているだけではその真の魅力は味わえないかも……?経年美化のアイテムは、どんなふうに年を重ねるかもポイントなんです。

その続きは後編で!ぜひご覧ください。

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